脳卒中の方に限らずですが、病院やデイサービスなどで、10メートル歩行時間や片足立ちの保持時間など、定期的に計測をしている所もあると思います。
私の関わっている方も月に1回、片足立ちの時間や歩行の時間が上がった、または下がった…と教えてくれます。
歩く速度が速くなる、麻痺側の片足立ちの時間が長くなる、というのは一見良くなったとポジティブに捉えやすいと思います。
もちろん早く歩けた方が、横断歩道を信号が赤になるまでに間に合うなど実用的な側面もあります。
でも、ここで考えて欲しいのは、
点数の向上=麻痺側の機能の向上
と言えるのか?ということです。
点数の向上は代償運動の向上かもしれない。
点数の向上=麻痺側の機能向上
とは限りません。
麻痺側下肢での片足立ち時間も、上半身や上げている非麻痺側の足でバランスを上手く取れたために時間が延長した可能性があります。
歩行時間もそうです。同じ距離の歩行時間が短くなったとしても、それは麻痺側以外の部分を使うのが上手くなっている可能性もあります。
点数の向上は、分かりやすいですしモチベーションにもつながりやすいです。
しかし点数が変わったにも関わらず、普段の生活における動きにくさや大変さはあまり変わらないという方も多く存在します。
そういった場合には麻痺側の機能変化はないため、日常生活における麻痺側の動かしやすさには変わりがないこと、が原因である可能性があります。
点数の変化は何によって起こったのか?
点数の変化は何によって起こったのか?を考えることが脳卒中の方、そしてセラピストが考えなければいけないことであると思います。
麻痺側の機能、潜在能力を少しでも向上していきたいのであれば、点数ばかりを追い求めてしまうと上手くいかないこともあります。
脳卒中の方で歩行の際、麻痺側下肢での参加は、あえて速度を落とし、自身の麻痺側の支持感覚を捉えなければいけない場合もあります。
膝の伸展ロックや装具にもたれかかる体重の支え方でなく、自身で発揮できる力で体重を支え、コントロールしようとすると、病前のようなスピードで行うと初めは上手くできないこともあるからです。
リハを進めていく中で、脳卒中の方は自分がリハビリを受けている目的は何なのか?何を良くしたいのか?を振り返り、セラピストに相談しながら目標や目的を適宜決めていく必要があります。
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