身体を動かす。
そのためには身体が存在しないといけない。
手を動かすには、手がないといけない。
歩くためには、足がないといけない。
手の動かし方も知っている。
上手く言葉で説明できなくても、
動かしたい指を動かしたい方向に動かせる。
私たちは普段、そんなことを考えることもない。
手や足がなくなる、
手や足の動かし方が分からなくなる、
見た目には動いていても、動いていることが感じられない、
ということは経験したことがないと思います。
脳卒中などで、
神経にダメージを受けると
上記のように
自分の身体の認識が変わってしまったり、
思うように動かすことが難しくなります。
自身の身体のイメージが運動プログラムを生成する
姿勢や運動のパターンは、
自身の身体への認識やイメージが影響します。
脳は空間内で自由に身体を操ることができる.
その身体は脳内で神経活動という形式で再現されている.
脳が自分の手足の位置や動きを知っておくことは,
それらを制御する上で極めて重要なことであり,
これらの感覚なしでは
正確な身体運動の制御は実現できない.
(内藤 栄一、身体運動像の獲得に体性感覚入力が果たす役割:バイオメカニズム学会誌,Vol. 31, No. 4 (2007))
運動は、
自分の脳の中にある「自分の身体」を元に、
運動プログラムを立てて、
そのプログラムに基づいて筋肉に指令を送り、
筋肉が収縮して起こる
ということになります。
脳卒中の方の「脳の中の身体」は?
では脳卒中の方の
身体の認識やイメージは
どうなっているのでしょうか?
目で見ないとどこにあるか分からない。
痺れがあるから分かる(痺れでしか分からない)。
膝から先は自分の脚の感じがしない。
他人の手みたい。
立つ、歩く時に頼りにならない。
そのような認識を持っている方がいらっしゃいます。
手や足がないと感じているのに、
「手(や足)を動かして」
と言われてもどこにその手があるのか分かりません。
ない場所を動かして、と言われても動かしようがありません。
そのような方にはまず手や足を探す練習が必要になります。
また手や足の感覚はあるけど、思い通りに動かせすことが難しい方もいます。
そのような方には、どこを意識して使うと、動かしたい場所が動くのか?
という指令を出すスイッチを探す練習が必要になります。
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